先日の話、公邸スタッフとの会話から「和食の陰と陽」はどんなもの?どうしている?っと質問されました。少しびっくりしながらワタクシもしっかりと勉強したことないし、ましてや英語orドイツ語で言えるわけでもない、ジャスチャーと知りうる限りの英単語を駆使して言ったつもりですが、多分思う所の半分も伝わってないでしょう
今回の記事では要点をかいつまんでまとめています、料理屋さんでこう言ったネタになる時のテンプレとして覚えておいても良いかと思いますし料理やお店のスタイル、想いやこだわりなんかも伝えれるかと考えます
ワタクシもこの業界で25年以上お世話になっており、生き残ってますが自分スタイルや考え方を口に出せるようになったのは本当に最近かもという感じです
それくらい色々見聞きしてこれました、当時の教えでは、「これはこう!」みたいな感じでもあった為か、よく調べないまま近年まで過ごしていました
今回はこの機会に一緒にサクッと学びましょう!
日本料理の基本
そもそも陰と陽とは
「陰陽五行説」という言葉を聞いたことありませんか?そもそも中国から伝わった物で「陰陽説・五行説」が一緒になった物
陰陽とは
光と影、太陽と月(今の馴染で言えば日・月曜日)など全てに面裏が伴う事
五行とは
5つの構成(同じく火水木金土曜日)によって周り転じてなされている事
良い悪いではなくて神羅万象の存在は、このように互いに影響する表と裏があるという思想や考え方の事です。
映画や何かで「陰陽師・安倍晴明」は聞いた事あるかと思います、これまさにそれ(陰陽五行説の使者・教えを説く人)なんです
当時に官職とされていて政治的なところでも多大な影響力を持つほど大きいポスト、当時の一般人は知ってても法律的に言えなかったとか
こう言った事柄を踏まえて「神格化」されたため今日まで伝わっているのです
食材、料理のおもて・うら
では、この陰陽五行説がどうのように料理に影響するのか又、どのように陰陽と結びつくのかです
先の記述で神格化というワードがあります、古来日本での神事の一つに「お供え」があります
本来、供物(くもつ)と言われて、神前・仏前・はたまた故人に「おそなえ」する物、これが最上位という考え方にあやかって構成されます
お供えする料理にもこのように表裏があって、向き・方角・品数・調理法・時間や時期も関係します
難しいですよね、、、とは言えこういう物(事)の「教え」が料理の基礎にもなっているということです
器・包丁・盛り付けの陰陽
さてようやく料理のテリトリーです笑
現在の「日本料理」とされているものが確立されたのは「室町時代から江戸時代」とされており、だいぶ年数に幅がありますがほとんどが江戸時代です、江戸時代の発展が凄すぎた為ですね
各所に職人なる、追求する先人達が鎬を削ったため今の原型があります、ワタスも10代のボンちゃんの時はな〜んにも知らず、ぽか〜んとしてました、仕事を教えてもらった親方クラスに「これはこう」と教わって見よう見まねで「仕事できてる感」を感じれました(大変でしたけど!!)
この時の「教えはこれに基づいていた」と、このブログの記事制作のおかげで知るとこが出来ました、ありがたや・・
ほんと〜に端折りますけど、『これはこう』。この言葉には多くの意味が込められています
こちらの面が上で、これが表で、こっち向きで、盛り付け方向はここから、何種盛り、何品目とぜ〜んぶこれに繋がります。気づいたん時は鳥肌もんです
「これがこう」という言葉簡単な事では無くて、こういう想いと伝承や伝統・地域の個性・憧れに魅力がこうして口頭と見習いで様変わりはあれど伝わってきたことに感動しました
料理人の誰もほとんど、伝記や論説なんて見てないのですよ!!いまだに残る伝統や伝来は日本人としても大切にしたいと思いますよね
では、具体的に包丁の陰陽ってあんの?ですが
あります!
和包丁は片刃(左利き割愛します)、食材を切ってしのぎの方が(右)陽、逆が(左)陰です
こうして字にすると「影ってよく無くね?」ってなりますが、そうではないです
言い方を変えて「表・裏」として向きで考えましょう
切り出してどちらが綺麗な面であろうか?です
世界に誇る日本刀(和包丁)の切れ味で作った物(切り出した物)、裏があるから表が映えるそんな教えも当たり前に伝わっております。
お造りの平作り、へぎ作りなどこれらの盛り付けをする時にどのようにしますか?
1種盛、3種盛、5種盛、なかなか無いですが7種盛の時に、切り出したこの向きの断面が綺麗で角が立ち全体が美しく見えるから、これが感覚の基礎となります
「これはこう」と教えて頂いたことが、先の時代から受け継がれ日本料理人には身についているのです
平作りの面、これを見えるように盛りつける、これ基本なんです。また寿司ネタをヘギで作った物のどちらが上かもおのずに右となるでしょう、切り出して持った手を返すこっちが表(陽)になります
そして器にもこれが適用されてます。凄いですよね!!
丸皿と角皿(ラウンド・スクエア)色々あるように、なんとこれにまで関係します、丸皿(陽)・角皿(陰)これに関してコメントすると、極端ですが四角いものを四角く切って四角い皿に盛り付けて四角いお客さんのお膳に出すのに違和感ありませんかと?いうことです。
言い換えましょう、四角い料理を切り出し丸系の皿に持って、四角いお膳に出して、時計回りに食べてとなれば先の違和感は薄れます、これが日本人感覚で備わってるんですね
日本料理の観て・感じて・食べての風情をも感じれるのでここはしっかりと守りたいところです
陽(偶数) | |
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丸(八角以上が丸とされる) 表面 凸(前に出ているもの) 浅い器など 温製・体を温める野菜 (ねぎ、ごぼう、れんこん、かぼちゃ、生姜、赤唐辛子など) 向こう(奥)側 右巻き(妻折り) 動きがあるもの 丸のまま 海の魚(鯉以外:鯉は最上級とされているから) 海の魚 握った包丁の右側 | |
陰(奇数) | |
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三角・四角・五角まで 裏面 凹(へこんでいるもの) 深い器など 冷製・体を冷やす野菜 (白菜、きゅうり、トマト、茄子、ゴーヤ、おくら、大根) 手前側 左巻(逆さ巻) 静寂 切り身 川魚 川魚 握った包丁の左側 | |
確立された日本料理 ー五味五食五法ー
さて、陰陽に関してですが重要な『五』に関していきます
これも先の五行説に通づるところはありますが、『五』の構成を持ってなされる事柄です
先の陰陽五行説でもありましたが、同じくして「全てはこの五種の循環によってなされている」の考え方です、物語などでもよく表現されています(マンガ・ゲーム然り)
さも料理においては「五味五食五法」という言葉は最近では珍しくもありません、調理師試験においても出てきます(補足ですが最近は五味に「うまみ」が一つ加わって六味になってるとか)
また、会席料理をいただくときの日本料理のマナー「心得」としては5つの適度な状態「五適」・「五感」で楽しむ事も加わります。
五適・五感
おもてなしとも言い換えられ
料理全体の心づかいの事
適温=料理の温度、温かいものは温かいうちにいただくなど
適材=年齢に応じた食材・など
適量=文字通り質量など
適技=凝りすぎないことなど
適心=雰囲気など
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚
そして一汁三菜、二汁五菜、果ては三汁七菜って聞いたことあるでしょうか?日本料理店では献立と品数においてもこれが基本的に守られています
少し話が戻りますが、先の陰陽と同様に1月があって2月があるという様に、暦にも影響していきます
よって日本料理においては9の月が最上とされ9月9日の重陽の節句はより華やかな「お節」となります
この記述では会席料理の前菜を例にします、会席料理の(懐石とは少し違います)前菜・または八寸と言われる料理にはお店または、料理人の全部(力量)が表されていると言います
前菜(八寸)は奇数の品数が採用されてると思います、形態によって様々ですがここにも先の五味五食五法が基本となるので、季節ごとに楽しめる日本料理の醍醐味でもありますね
また、上記に足りなければ器の色や懐紙などでも補われることもあります
価格:1870円 |
まとめ
日本料理とは中国伝来の陰陽五行説から伝わった教えと考え方をもとに日本独自に変化にて江戸時代に確立と発展をしました、風情を味わう日本人独自の価値観で作られた伝承と伝統。一年に5回ある節目の節句に重きを置いた料理人の引き継ぎがいまだに伝えられ教えられています。
現在の日本料理店ではこういた教えやいわれを基に、各店の料理構成とサービス、スタイル、何より来客のお客さんが楽しんでいただけるように文字通り鎬を削っておられます
AIやテクノロジーのこの時代に応じて様変わりはあれども、こうした基本は今後も変わらないと考えます、何より衣食住の一つ「食」です。
気分や雰囲気、信頼によっても満足度は変わるので、そう言った事も含め考えてます
先人たちのように基本的に引き継ぎ、それぞれの料理の型、それぞれの表現でいいと思ってます
今回もありごとうございました、追記あれば随時更新いたしますので不足に関してはご指摘くださいませ、今回もありがとうございました
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